2017年6月18日日曜日

形の不思議

先日の春夏物の展示でアンティークの帽子を
いくつか展示させていただきました。
リボンズが個人的に所有しているものを
お客様にも手に取ってお試しいただきたかったからです。

いくつか展示したものの中で、
もっともお客様から好評だった帽子がこれです。


帽子そのものだけ見たら、どんなスタイルなのか
想像できない独特な形。
帽子を作る私達でさえ、
どうしてこの形なんだろう、どうしてこう作れるんだろう・・・と思う、
他には見たことのない形なのです。

でも、被ってみたら
どんな方にも似合って、スタイリッシュな帽子上級者に見える。

スタイリッシュに、かぶりなれているように見えるということは、
かぶっているどんな人にもなじむ形ということ。
それこそ、帽子としての究極なのではないかと思うのです。


この形を次の秋冬で再現したいと思い、
型を作り始めようとしていますが、
簡単には復元できない複雑な仕掛けがいくつも潜んでいて
手ごわい相手です!

作り手としての技量や感性、
そして物をよく見る力を持っているかどうかも、
この仕事でためされていることを痛感します。

秋冬で皆様にお披露目できるよう
日々この強敵と向き合っております。

2017年6月9日金曜日

ボルサリーノ・シティ

清澄白河での展示販売が無事終了した先月、わたしたちリボンズには楽しみにしていたイベントがありました。それは

 

映画「ボルサリーノ・シティ」
世界的な帽子ブランドといえばイタリアのボルサリーノ。特に帽子が好きでない方でも名前だけは知っています(これってすごいことです!)。中折れのソフトハット(フェドーラ)をメーカーを問わずボルサリーノと呼ぶ人もいます。メンズハットの代名詞とも言えるボルサリーノ社の歴史を描いたドキュメンタリー映画です。 イタリア文化会館での上映に行ってまいりました。


全盛期はアレッサンドリアというひとつの街がまるまるボルサリーノの工場と言っていいほどに大きな規模と繁栄を誇っていたのですね。
帽子づくりは厳選された素材でフェルトを作るところから始まります。この写真の大きなフェルトを何度も圧縮して、滑らかで均等な美しい帽体(型入れ帽子の原型)を作るのです。


型入れのシーンは目を皿のようにして見てしまいます!
工場で作るハードタイプの帽子は私達の作る帽子とは少し違いますが、基本は一緒です。意外と荒っぽい感じで作っていきますが、ロープを掛ける位置とか要所要所がきちっと正確。使っている道具にもついつい目が行きます。スロー再生して欲しい(笑)


ボルサリーノが世界的に有名な帽子になった背景には、ハリウッドを始めとした映画の世界に愛されたこともあります。有名なのはズバリ映画「ボルサリーノ」ですが、え、この映画もそうだったの?え、これもなの?と驚くほどいろんな映画に出演!しています。
個人的に大好きなフェリーニの8 1/2(はっかにぶんのいち)の印象的な中折もボルサリーノだったんですね。


ボルサリーノの歴史は近代メンズハットの歴史そのもの。
人々が「あたりまえに」帽子をかぶっていた時代から、おしゃれアイテムになった近年、今後の帽子のゆくえまで考えさせられるドキュメンタリーでした。


 そして、嬉しいことがもうひとつ。
この映画に誘ってくれたyoshimiさんが、わたしたちを映画監督のエンリカ・ヴィオラさんに紹介してくれたのです!
一緒に写真を撮ってくださって「素晴らしい仕事に誇りを持って下さい」と嬉しいお言葉をいただいてしまいました。
嬉しい気持ちと、帽子を作るという仕事について、そして、いつかボルサリーノ博物館に行きたいなあ、とふわふわ考えるすてきな夜でした。

なんと、この映画は無料公開!イタリア文化会館はほかにも素敵なイベントのほとんど無料で開催しています。すっかり味をしめてちょくちょく行くようになった今日このごろです。




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