2016年6月29日水曜日

オプティモ ~なつかしいかたち~

「ありそうで、ない帽子」
Double Ribbonの帽子をそんなふうに言ってくださる方がいらっしゃいます。
すこし年上の方々からは、「懐かしい感じがします」とお言葉をいただくことも。
わたしたちリボンズがクラシカルなハット好きなことも影響していると思います。

最近あまりみないけど、今かぶったら素敵なのに!というデザインを見つけると作ってみたくなります。「クラシカル」が「古臭く」ならないように。今の時代にフィットさせるのも醍醐味のひとつです。


 

今シーズン、リボンズのメンズ担当が復活させたかったのはコチラ。
映画「ペーパームーン」でライアン・オニールがかぶっているパナマハット。この映画の設定は1935年。この頃のパナマハットといえば多くはこの「オプティモ」だったようです。(余談ですけど、テイタムがかぶっているブルトンもすごく可愛い!それにしても、おじさんと憎ったらしい少女のロードムービーって最高ですね)

パナマ素材でなくもっとカジュアルに。今のスタイルに合わせやすく。と、素材を変えて作ってみました。



ツバ先の立ち上がりもキリッと。なかなかハンサムな帽子に仕上がったと思います。
さあ、おしゃれメンズよ、カモ〜ン!

 …と思っていたら、ほとんどの購入者はハンサムな女子でした。
しかも、カッコイイ系から可愛い系まであらゆるタイプの方がさらっと素敵にこなしてくださったのです。見慣れないかたちに対して男子のほうがちょっぴり保守的なのかもしれませんね。
そして、あらためて仕上げはかぶり手が作るもの。と感じました。

哀愁ただよう戦前の浅草

かつての洒落者がかぶっていたこのかたち。当時は「筋入り」と呼ばれていたそうです。浴衣や夏キモノに合わせた時など、中折よりもちょっとだけこなれた感が出るんじゃないかと思います。男子の皆様の参入も、ぜひ!お待ちしております。



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2016年6月22日水曜日

夢のプロジェクトに

昨日、新しいお仕事の打ち合わせで東京芸術大学にお邪魔してきました。
上野の森の豊かな緑に囲まれた素敵なキャンパス。
どんな打合せになるのか期待が高まります。

東京芸術大学と筑波大学、慶応大学の研究チームが共同で進めておられる、先端科学と芸術表現が融合する壮大なプロジェクト。
まさにドリームチーム!


そこになぜダブルリボンズが?・・・と思われますよね。
私達リボンズもそう思います!

先日の清澄白川での展示の際、たまたま展示を見て下さった筑波大学の寺澤先生が声を掛けて下さったことがきっかけで、今回このプロジェクトに関わらせていただくことになりました。

昨日、そのプロジェクトチームのミーティングがあるということでダブルリボン初参加。

東京芸術大学 先端芸術表現科の古川先生と濱野さん、慶応義塾大学 理工学部の三木先生と工藤さん、そして筑波大学の寺澤先生というドリームチームメンバーにお会いしてプロジェクトの詳しい内容や、どんな形でダブルリボンがお役に立てるのか、色々お話を伺ってきました。

違う分野の専門家が集まって、それらを融合し、今までにないまったく新しいものを創り出していく現場。
ワクワクしつつも、あまりに高度なお話で、「私達で大丈夫なんだろうか」という思いも・・・。

それでも、いままでの帽子作りとは全く違うアプローチと、やわらかい思考や感性が求められる熱を帯びた打ち合わせにリボンズは今、興奮気味です。
いつも使っていない部分の脳みそにもたくさん血流が流れ込んだような感覚です。

このドリームチームに参加できてることがまだ信じられない!

でも本当に楽しかった!!
いろんなアイディアが出てきています。今後、それを形にできるかどうかが、私達2人の難しい挑戦になります。
今感じている喜びと興奮、情熱をエネルギーに変えていきながら進んでいきたいと思います。

帰り道に先生から、「長いプロジェクトは必ず途中で停滞することがあって、気持ちを持続することが難しい局面もやってくる。そこをみんなでなんとか持ちこたえて切り開いていくと、またぐんと加速してくる時がやってくるものなんですよ。」と話してくださいました。

苦しいときが来ることをさりげなく教えて下さった先生の言葉。
それを覚悟の気持ちで受け止めつつ、チームのみなさんとともにそんな時間を過ごせる時がくるのかと思うと、どうしても体験したい気持ちが膨らみます。


ミーティングの帰りにリボンズ二人でアイディア出しのため、コーヒーショップへ。

上野の森近くの木陰のテーブル。
人懐っこいスズメのチュン太郎が遊びにきて、
「リボンズ、がんばれよ~♪」と声を掛けてくれました。


新しい挑戦、難しい仕事であっても、チュン太郎のような無邪気な遊び心も忘れずに、頭をやわらかく取り組んでみます。

続報はまた後日に・・・。(k)




2016年6月19日日曜日

素材の違いを楽しむ

先日の展示会でご注文をいただいたお帽子を週末に納品してきました。
長年のお付き合いになるファッショニスタからのご要望。


スタイルを決めて、色やリボンのご希望を伺うと、真っ白な帽子が欲しいとのこと。
夏の素材は色々種類がありますが、上の帽子はシゾールという麻の素材。
編み目の細かい、とっても軽いものです。

 
 
ネイビーかブラックのリボンがご希望だったのですが、この白のシゾールにはネイビーが相性が良さそう。ネイビーのフェザーのトリミングを添えて。
 
 
下の写真は、夏の素材で最近わたしが気に入っているマーカス。
パリバンタルという上質な素材がありますが、そのすこし太い部分の繊維を編んだもの。
張りがあり、素材の風合いがマットで、シゾールとはまた違った雰囲気の仕上がりになり、編み方も違うので被り心地もソフトだったり、かっちりした感じだったりと、変わってきます。


同じスタイルの帽子でも、素材によって雰囲気は変わります。
こちらの白はオフホワイトのような白。これにはブラックのリボンのほうが相性が良さそうです。


お気に入りの帽子があったら、同じ形で違う素材をオーダーしてみるのも楽しいかもしれません。素材と、トリミングを変えるだけで、違う雰囲気を楽しんでいただけると思います。
(k)

2016年6月15日水曜日

特権階級と旅


久しぶりに弁慶橋ボート場の前を通りました。都会のオアシス!和みますね。こんな可愛いマークだったとは知りませんでした。ぱちり。さて、本日の行き先は…


空へ、海へ、彼方へ──旅するルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトン創業からの歴史をダイジェストで、しかも無料で見せてくださる という、太っ腹な展示です。ちなみにワタクシ(殿塚)、ルイ・ヴィトンの製品はひとつも持っていません。自分の荷物を自分で持たない方々のためのブランドーそれがルイ・ヴィトンですもの。(だいたい、私が持っていたら『それパチもん?』と聞かれてしまうことでしょう…涙)


写真家 シンディー・シャーマン のデスクトランク。美しく、機能的で、ポップ!折りたたみチェア―にもレザーが貼ってあります。ふお〜。



戸外でお茶を嗜むのでしょうか。日本の茶道具入れに通ずるものがありますね。


やはり、帽子に関係しているものをしっかり見てしまいます。カクテルハットを運ぶためのトランク。優雅〜。



帽子を運ぶためのトランクは何種類もありました。紳士にも淑女にも、帽子は欠かせない時代です。紳士のハットにステッキ、アスコット・タイ。素敵!

セレブリティ、スーパースター、一部の特権階の方々のためのトランクから時を経て、村上隆や草間彌生などによるコラボまで。遊び心を持ちながら「格」を失わないブランド力!歴史的な背景や社会情勢を絡めてみるのも楽しく、眼福な展示でした。ボリュームもたっぷり。多分見る方によって見どころが違うと思います。6月19日までですよ〜。


「Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton」



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2016年6月6日月曜日

帽子材料のこと

帽子を販売している時、
よくお客様から「編むところから作るんですか?」と聞かれます。
そこで、今日は材料のお話を少し。


夏の帽子の素材は、こんな形になって売られています。
私達は、この材料を問屋さんから購入して帽子を作ります。

これらのことを「帽体(ぼうたい)」といいますが、
夏物の帽体は、おもに植物の繊維などを編んだものが多く、
クラウン(頭の部分)にブリム(つばの部分)が
なんとなく形作られた状態になっているんです。


天然素材なので、帽体ごとに網目の細かさや、繊維の色合いも少しずつ違うため、お作りする帽子もひとつひとつ雰囲気が若干違ってしまうのはそのためです。
そこがまたいいところでもあるので、ぜひ次回帽子を手に取るときには、ひとつひとつの表情も見比べてみてください。


素材もいろいろ。
素材によって、固めにかちっと仕上がるもの、柔らかい被り心地のやわらかい印象のもの、繊維の太さによっても表情が変わります。




これらの素材はアジアの国々で編まれていることが多いようですが、
最近では、編み手が少なくなってしまったために、入荷状況も不安定だったり、
上質なものが手に入りにくくなったりしているようです。

こうしたものを編むお仕事よりも、工場で働く仕事につく人が増えてしまったからだと聞いています。アジアの国々の経済事情が、帽子の世界にも及んでいるということのようです。

私達もたびたび仕入れに行きますが、
「次はもう入ってくるかどうかわかりません」などと言われてしまうこともあるほどです。

なかには、もう二度と作れない帽子も出てきてしまうのかもしれません。
なんとか、こうした技術を残して帽子文化が絶えることのないようになればいいのですが。

帽体を作ってくれる職人さん達がいて、初めて私達も帽子を作ることができます。
これらの材料を木型に入れて形を作り出すところからが私達の仕事。

その木型作りもまた職人さんが少なくなってしまい、入手困難な状況になってきています。
私達ダブルリボンズにとっても木型の入手は悩ましい課題のひとつ。

そんな木型のお話はまた後日あらためてお話させてください。(k)